2019/1/20(Sun)
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ロボコップになった男の話。

今回は先週観てきた映画の話です。先週、といっても新作ロードショーではありません。今から30年以上前、アメリカでは1987年、日本では1988年に公開された映画「ロボコップ」がクラウドファンディングによって高解像度4kで上映されることが決まり、そのイベント「ロボコップコンベンション東京2019」に参加、鑑賞したのでした。当時10歳だった僕は映画館ではまだ観ることができず、上映後1年経ってからJR大森駅ビル「ララ」の地下一階にあったレンタルビデオ屋で一泊二日500円で借りてはじめて観ました。そしてその後始まったばかりだったVHSの廉価版にラインナップされた同作のVHSを3000円で購入、バック・トゥ・ザ・フューチャー2やグレムリンとあわせて毎日のように観まくっていたのです。

その作品を初めて大きなスクリーンで、4kで、しかも当時日本で公開されたバージョンや、VHSではカットされていた数々のシーン(そのほとんどは残虐演出ばかりですが笑)も入った貴重なディレクターズカット版での鑑賞。画質や音響の良さももちろんですが、僕自身が大人になり、時代も変化したせいか、より新鮮な気持ちで観ることができました。そして改めて思いました。「ロボコップは名作だ」。「いち企業が警察を運営する」というディストピアな世界観は2019年の今ではまったく笑えない現実となりつつあります。様々な意味で示唆的な内容を多く含んだ映画でした。

主催者はジャンクハンター吉田さん。映画やゲームから日本の道交法をはじめとした各種交通ルールまで、非常に幅広い知識でご活躍される(僕的には)映画人、ライターであり、ジャーナリストです。何よりも生粋のロボコップマニア。そんな吉田さんの呼びかけではじまったこの4k上映のクラウドファンディング、会場となったお台場アクアシティのユナイテッド・シネマのスクリーン1は600人の出資者と招待客、当日券を求めて集まったお客さん等で埋め尽くされていました。

さてこの4k上映は紆余曲折あり、一昨年一度目標額を達成し、実現しかけたものの、諸々権利関係等の不備があり、返金処理をして上映中止に。このクラウドファンディングの旗振り役を買ってでたジャンクハンター吉田さんはファンド参加者に謝罪をしつつ、悔しさを滲ませていました。上映に関する不手際には直接関わっていなかったのだそうです。そして去年吉田さんは体調を崩され、入院してしまいます。そして診療の結果、担当された医師の方に「右足切断」を薦められます。吉田さんはこの提案に「すぐ切ってください」と即答したそうです。

その件はこちらのインタビューに詳しく掲載されています。


ということで吉田さんは義足となりますが、再び4k上映に挑みます。今回は吉田さんが主催者となりました。期間は1ヶ月!


クラウドファンディングは最終日に達成し、無事上映日も決まりました。それが冒頭の「ロボコップコンベンション東京2019」だったのです。


ロボコップはそのルックスからは想像できないほど悲劇的な映画です。悲しい男の物語なのです。警察官として治安の最悪な街に配属された主人公マーフィ巡査が脅迫な犯罪グループに襲撃され瀕死の状態になります。それはある企業の陰謀により引き起こされたものでした。ちなみにこのシーン、当時の公開バージョンでは「瀕死の重傷」というイメージだったのですが、今回のノーカット版でみるともはや完全に死体レベルの仕打ちを受けていることがわかります。そして本人の意思とは関係なく、頭部を残した肉体のすべてを機械に代えられ、家族の記憶も消されて、「ロボコップ」として強制的に蘇ることになります。警察官として治安維持に大活躍するロボコップですが、消されたはずの記憶の片鱗に悩まされ続ける日々。やがて自分を襲撃した犯行グループとその黒幕の存在に気付き、インプットされたプログラムに縛られながらも自分の記憶と「名前」を取り戻すための戦いを始めます。

イベントが始まり、上映前の挨拶のために壇上にあがるジャンクハンター吉田さん。ゆっくりと階段をあがる吉田さんの姿は、事情を知らなければ「ちょっと足が悪いのかな?」と思うぐらいで義足だとはとても思えません。僕には映画の中のマーフィと重なってみえて、まだ映画が始まってもいないのに胸が熱くなってしまいました。吉田さんは少し照れた感じで参加者にお礼を言うと大流行しているインフルエンザのせいで来れなかった出資者について心配されていました(やさしい)。そして作品上映後には豪華なゲストによるトーク、ポストカードを描いてくださった漫画家、イラストレーターの皆さんとのフォトセッションなど、映画だけでなく、全体が非常に豪華なイベントでした。

最後に今年の3月まで上映権を吉田さんが保持しており、劇場が手を上げてくれればまた作品をかけることができるよ、ということがアナウンスされました。ということでまだまだ日本国内で観れるチャンスがありそうです。是非観てほしいし、僕ももう一度観て細かいところをチェックしたいです。

 

おまけ。吉田さんのこの本、名著です。おすすめ。

というわけでジャンクハンター吉田さん、関係者の皆さん、お疲れ様でした&ありがとうございました。