2019/2/24(Sun)
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プロレス素人による「マッスルマニア2019 in 両国~俺たちのセカンドキャリア~」レポート。

もう先週の土曜日になってしまいますがDDTのプロレスイベント「マッスルマニア2019 in 両国~俺たちのセカンドキャリア~」を観戦してきました。

僕の周囲にはプロレスや格闘技のファンが本当に多いので、詳しくない僕もときどき誘われてWWEや666(トリプルシックス)、Dynamite!など過去にも観戦したことはあるのですが、DDTのイベントは去年に続き2度目。そして今回は「マッスルマニア」というマッスル坂井さんが主宰する興行です。今回は「マッスルマニア」が一旦区切りをつけてから8年半ぶりの復活とのこと。会場全体からまるでバンドの再結成に新旧のファンが集まったような独特の熱気が感じられました。

開会の宣言は宇多丸さん。実は観戦しながらリアルタイムで「宇多丸さん服着てる。」というツイートと共に以下の写真をツイッターに投稿したのですが(アトロクの中で古代オリンピックのような服でお願いしたい、などのやりとりがあったのです)、その熱いスピーチを聴いてるうちに「あ、これはいじるところじゃないな(少なくとも今じゃないな)」と思い慌てて削除したのです。

開会宣言は映画「ロッキー」にマッスル坂井とマッスルマニアを重ね、映画解説者荻昌弘の有名な言葉「これは人生、するか・しないかというその分かれ道で、「する」のほうを選んだ勇気ある人々の物語です。」を引用した素晴らしい演説でした。今日参戦するレスラーはマッスル坂井をはじめ、アントーニオ本多など僕と同世代が多く、言われてみれば自分もそれなりに「する方」を選んで生きてるのかな、などと考えてしまいます。

DDTの観戦は2度目、と書きましたが、このイベントは煽りV(試合開始前の紹介映像)が凝っていて、知らない人でもその場で感情移入して試合観戦に臨むことができます。2度目の僕でも知っている選手が次々と出てきてテンションがあがってしまいました。一切前情報がなかったこの興行は「東京プロレスリンピック2020」を開催するにあたり日本代表選手を決定する、というストーリーで進みます。ペドロ高石選手の引退試合は一度目こそタッグマッチのチームメイトであったグレート小鹿選手の勝利により微妙な空気で幕を閉じたものの、青木真也選手との再戦(これが本当に死闘ともいえるような熱のこもった戦いでした)と息子さんの手紙で感動的な引退セレモニーとなりました。

続いて「プロレスラー格付けチェックデスマッチ」。平和の祭典の選手を決めるということで直接戦うのではなく、リング上にパネラー席を用意してバラエティ番組になぞらえたクイズ形式で行われました。山里さんやクロちゃんなどテレビでお馴染みの方も登場しリング上が華やかに進行します。ここ、笑いすぎて写真を撮るのを忘れてました。

「平成最後の純烈新メンバーオーディション」では紅白出場を経て今年に入りスキャンダルに見舞われてしまった純烈が出演。純烈のリーダーの酒井さんは元マッスルの選手(僕的にはロフトプラスワンのプロデューサーのイメージのほうが強いけど)、「行こうぜ、スキャンダルの向こう側」ということで純烈のミニコンサートが行われました。場内にはサイリュームを持った中高年の女性のお客さんもちらほら。そのフリ合わせからして確実に純烈ファンだと思われます。

歌唱後、プロデューサーの鶴見亜門氏より「今の純烈は偶数で収まりが悪い、奇数にするためにもうひとり加入させるオーディションを行おう」という提案がなされ、「平成最後の純烈新メンバーオーディション」がバトルロイヤル形式で急遽開催されました。このまま残された4人で結束を固めて続けたい酒井リーダーが勝てば加入免除、というルール。

ちなみに僕が今回の興行で個人的に一番笑ったのはこのバトルロイヤルで酒井リーダーをおいつめた坂口征夫選手が全身タトゥーのため「銭湯や健康ランドのステージにあがるのは難がある」と判明した際に自主的にオーバー・ザ・トップロープ(リング外に出ること)で負けた場面。坂口選手の無駄使いがとてもよかったです。


最終的な勝者は俳優の渡辺哲(アントーニオ本多選手の実父)に勝利した酒井リーダーを力でねじふせたアンドレザ・ジャイアントパンダでした。よってこの時点でアンドレザ・ジャイアントパンダの純烈への加入が決定します。オーディションが終わり、第三試合へ(この時点でまだ二試合しかやってない!)

第三試合は水曜日のダウンタウンの総合演出、藤井健太郎氏によるプロデュース。このイベントが盛り上がるためにはネットニュースによる「後パブ(イベント後のレポート記事などによる広告効果)」が重要ということで、Yahoo!トップニュースに上がるための「見出し」が練られ、なんとイベント中に先に記事がネットに掲載されるという前代未聞の事態が起きます。「南キャン・山ちゃん、両国でクロちゃんと肛門爆破かけ激突」などの記事が次々にあがり、選手たちはその結末にそって戦わなければなりません。いやー笑った。

ところで。

ここだけの話なのですが、この興行主のマッスル坂井という選手は実は覆面レスラー「スーパー・ササダンゴ・マシン」と同一人物なのです。スーパー・ササダンゴ・マシンといえばトークイベントや僕のライブイベントなどでも数多く共演していますし、まあ言ってみれば友人のような存在で、普段は「さかいさん」と呼んでおり、ときどき人前でもそう呼んでしまうことも多く、慌てて「スーパー・ササダンゴ・マシンさんは」と訂正するぐらいの付き合いです。

そんなさかいさんに以前僕のイベント「RAM RIDER LIVE 2018」に出演していただいた際、「いくら事前に告知しても終わった後のイベントレポートとか感想戦的な記事で後パブをやらないと意味がない」と愚痴ったことがあったのをこの試合の観戦中にふと思い出しました。さかいさん本人は忘れてしまったかもしれないけど、もしかしたら何気ない僕の愚痴が頭の片隅に引っかかってたのかもしれないと思い、この演出に内心少し嬉しくなりました。もちろんただの思い過ごしかもしれないけど。

試合は最終的にアップされた記事「山里の男気に数千人が涙! お前らの血は何色だ?爆破されるのは俺の肛門だけでいい。5倍の火薬じゃねえ。10倍で来い」にのっとり山里さんの肛門を爆破し、無事終了。自分でも何を書いてるのかわかりませんが、実際そうだったんだから仕方がありません。

試合はいよいよスーパー・ササダンゴ・マシンのパワポを経てメインイベント「アントーニオ本多vsDJニラ」へ。アントーニオ本多選手は負けが多く、両国のメインっぽくはないがあえてそこをやるのがマッスルらしい、とのことで選ばれました。対するDJニラ選手、僕は知らなかったのですが会場のどよめきから玄人受けする渋い選手であることが読み取れます。

途中、セコンド選手による乱入やスローモーションによる回想シーンなどを経て試合は激化。回想シーンではアントン選手だけでなく対戦相手のDJニラも強い想いを背負って試合に望んでいることが判明します。実はDJニラ選手は昔アントン選手の父親の渡辺哲に負けたアポロ・ニラ選手の妾の子でした。「自分の存在が過ちでないことを証明する」というのです。そう、試合は映画「ロッキー」の正式な続編シリーズである「クリード」になぞらえて進みます。ここで観客はあの宇多丸さんのスピーチがすべてラストに至る伏線になっていたことに気付かされるのです。「自分の存在が過ちでないことを証明するんだ」はクリード一作目の最後の大試合で主人公のアドニスがロッキーにむかっていうセリフです。DJニラという選手について僕は知りませんでしたが一方のアントーニオ本多と俳優渡辺哲は紛れもない実の親子。「嘘のことを本気でやる」「嘘の中に本当を混ぜる」。この虚構と現実が入り混じった世界観の中で、とにかく前の前で観客を驚かせ、笑わせ、泣かせている体の大きな人たちの多くが自分と同世代であるという事実、何よりこのイベントを主宰しているのがさかいさんであるということを思うとどうにも泣けてしまい、僕はこの時点で予防のためにしていたマスクの上半分を涙でびちょびちょにしてしまいました。

試合は両セコンドからタオルが同時に投入され、引き分け。アントーニオ本多選手からマッスル坂井に向けた熱いメッセージで幕を閉じました。

イベント終了後もしばらく席を立てなくてなんだか呆然としていました。一度は泣いてしまったものの、その都度その都度の場面で感動させると思いきやその手前で笑いや茶番に落とすスマートさがかっこいいな~と思ったのです。やっぱりこう、頑張ってる感を出しすぎ、とすぐ人に指摘される僕には彼らの生き方はとてもスマートでかっこよくみえました。

ちなみにアンドレザ・ジャイアントパンダは記者会見での女性に対する不適切な行為が発覚。女性問題に厳しく向き合いざるを得ないグループへの加入とあり、あえなくその日のうちに純烈を脱退となりました。

きっと直後はバタバタしてるだろうし、翌日もまだ試合が残っているし、ということで終演後はさかいさんにLINEするのを控えていたのですが、その晩に狙い通りYahoo!ニュースのトップにあがっているのをみつけたのでそれをスクショした画像を送りつけ、ついでに感想も伝えました。

その日のうちに2度泣きました。